FRBはIOERを5bps引き上げました。

米FRB金利据え置き、超過準備の付利金利は引き上げ


このことに関して考えています。

結論としては金融引き締め方面への警戒感から株価が派手に下げているが、今回の金利引き上げが今後の金融政策には何ら影響が無いこと、そして市場が派手に動いたことにより、金融緩和政策以外に景気を維持することができないことが確認できたため、FRBの選択肢はより狭められたと考えます。
一方で市場は額面通りに受け止めて、警戒感が強まっているため注意が必要です。

IOERとは?

銀行の超過準備金に付利する金利を意味し、the intrest on excess reserveの略です。
我々はお金を銀行に預けますが、そのお金は銀行の金庫に眠っているわけではありません。銀行はそのお金を企業に融資したり、国債を買ったり、そして余ったお金は銀行の銀行であるFRB(日本であれば日本銀行)に預けるのです。
FRBのような中央銀行は銀行の健全性を監督する立場にありますので、各銀行の体力に応じて一定の金額をFRBに預金するように要求します。これを法定準備金といいます。
そして、法定準備金以上にFRBに預け入れている預金を超過準備金と呼びます。
この超過準備金にいくらの金利で利息を支払うかがIOERというわけです。
このIOERを今回、1.60%に5bps引き上げました。

ちなみに日本の場合はより複雑で、超過準備金に対して、一定額までは0.1%の金利を付して、さらに一定額を超えるとマイナス0.1%の金利を付しています。

FRBの思惑とは

教科書的にはIOREを引き上げることにより、銀行には連邦銀行への預金をするインセンティブを高めることにより、インターバンクなどの短期金融市場からの資金を引き上げさせ、実効FF金利の引き上げ効果があると考えられます。
一方で隠れQEにより、銀行の手元流動性が増加し、準備金は増加していきます。そうするとそもそも法定準備金を下回る銀行は少なくなっていきますので、インターバンクからお金を調達する必要すらありません。
今回のIOERは実効FF金利を誘導目標レンジ内に留めることを目標としたテクニカルな調整と説明がされていますが、まさしくその通りで現行の政策金利の誘導目標の達成が主目的であり、本質的な金融政策に変更は見られません。
そもそものところで量的緩和の時代にインターバンク市場の重要性が薄れているということです。
市場の過剰な反応は古い教科書をインプットしたAIが機械的に作動しているかのようです。

IOERとコロナウィルスで一時的なパニックか

前回のエントリーで予言した通り、IOERに加えてコロナウィルスのパニックが始まっています。
ひとまずマーケットの動きを冷静にみて、チャンスがあればS&Pのロングを追加したいと思います。