2019年03月

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3月22日の日経平均は前日比18円高の221,627円でザラバを終えました。
一方で、マーケットクローズ後にドイツのPMI数値が予想を大幅に下回り悪化したことをきっかけに、リスクオフの流れが加速し、日経平均CFDは411円安の21,198円で金曜日のナイトマーケットを終えています。

金曜日の市場では非常に重要なことが起きました。それは米国債3か月物の金利と米国債10年物の金利が逆転したことです。

以下のキャプチャーは逆イールドが発生したときのBloombergの画面です。

inversed yield
上記のキャプチャーをグラフにすると以下の通りになります。


chart


利回りのカーブをみると6ヶ月物から5年物まで利回りが下がっていき、10年債で上昇するものの3ヶ月物以下にとどまっていることがわかります。
3ヶ月物と10年債との間の逆イールドが最後に発生したのは2007年のリーマンショック前が最後です。世界的な経済的危機の前には必ず発生しており、相当強いシグナルであるといえるでしょう。
市場が想定している通りに仮に金利が動くとすると、6ヶ月後以降からFRBは利下げを行い、その利下げは今後5年間続きます。そして、10年後までに利上げが行われるでしょうが、それでも平均利回りは現状の利回りを超えることはできません。
FRBは通常、景気が良ければインフレを抑えるために金利を上げますし、景気が悪ければ金利を下げます。つまり、逆イールドは景気後退の大きなシグナルだということです。

FRBの不自然な声明

FRBは前回のFOMCで、現状の経済指標に自信を持ちつつ、その一方で利上げを中止し、バランスシートの縮小も9月までに中止すると発表しました。経済の状況が良ければ、金融引締め政策を行うべきですし、金融緩和をするのであれば現状の経済は悪いはずです。このような、チグハグな声明に対して、FRBがトランプ大統領についに屈したという声が聞かれました。
しかしながら、こう考えれば、FRBの声明はしっくりします。それは米国の経済は実はとても悪いのではないか?ということです。
なぜなら、ECBが3月7日に慌てて今まで終了するとしていた金融緩和政策をまた始めると言い出しましたが、その後の経済指標が強烈に悪いからです。ECBは、冒頭で紹介したPMIの急激な悪化を知っていた可能性があります。


ドル円が強烈に下げる展開

景気後退が意識される中、米国の金融緩和でドル円は暴落しています。
これは、前回のエントリーで予想した通りの展開です。
  • 世界的な緩和ムードで最後は日経平均は暴落する

迫りくる暴落局面

逆イールドから、景気後退まではタイムラグがあると言われています。しかしながら、本来であればとっくに下落している相場は、トランプ大統領の減税等の政策で無理やりかさ上げされている点を考えれば、案外早く景気後退も、それを先取りする相場の下落も早く始まるかもしれません。

個人は資産防衛を

今後来るであろう景気後退局面に向けて、日経平均や各種株価指標の空売りが可能な口座の開設をお勧めします。
また、日経平均の空売りには、その安全性からXMTradingをお勧めしています。
  • 日経平均の空売りにはXM Tradingがお勧め
派手な値動きがあった場合には、日本の証券会社は証拠金0で損切がされずに「追証」と呼ばれる巨額の借金を背負う可能性がありますが、海外FXには追証が存在しないので、安心してトレードをすることができます。人生を破壊するリスクを背負うのはやめて安全なトレードを行いましょう。

ブログを書いている時点で日経平均は21,450円前後で推移をしております。
世界的な景気後退のムードを受け、各国の中央銀行は再び金融緩和的政策を進めています。

ヨーロッパ

ECB、新たな長期オペ開始へ-金利は少なくとも19年末まで据え置く(Bloomberg)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-07/PNZZIC6S972801

欧州中央銀行(ECB)は7日、新たな長期リファイナンスオペ(LTRO)を開始すると発表した。金利ガイダンスも変更し、少なくとも2019年末まで据え置くと表明した。景気減速の中で金融緩和脱却の計画変更を余儀なくされた。

中国

中国首相、銀行に長期融資の増加呼びかけ-過剰な流動性供給は否定(Bloomberg)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-20/PN8C946VDKHS01

李首相は「中国の最近の金融政策については、市場参加者を中心に外部から総じて肯定的な評価を得ているが、これは量的緩和なのかとの疑問も浮上している」と述べた上で、「慎重な金融政策を変えてはおらず、今後変えることもない。われわれは経済をあふれさせることには断固反対だ」と続けた。

  中国は人民銀行(中央銀行)が1月に、市中銀行の預金準備率を合計1ポイント引き下げ、経済全体のファイナンス規模は同月に市場予想を上回る伸びとなっていた。


米国

本日のFOMCにて、緩和的なメッセージを送るかが注目されていましたが、2019年の利上げ予想を0とし、バランスシートの縮小も9月までとしました(これには驚きました。)。

日本は緩和的な政策をとれるか?

世界各国が緩和ムードにつつまれる中、日本の状況はどうでしょうか?
仮に日本も金融緩和を行うのであれば、世界の株高の流れについていけるかもしれませんし。仮に行えないのであれば、相対的に円の価値は高くなり、アベノミクスの前の時代に逆戻りとなるでしょう。
以下の報道を見ると、少なくとも黒田総裁は緩和的政策を検討するポーズをとっています。

物価2%のモメンタム損なわれれば、当然追加緩和を検討=日銀総裁(Reuters)
http://betajp.reuters.com/article/boj-kuroda-idJPKCN1R10UB

日銀の黒田東彦総裁は20日の参院財政金融委員会で、物価2%目標に向けたモメンタム(勢い)が損なわれることになれば、「当然、追加緩和を検討していくことになる」と語った。渡辺喜美委員(無)の質問に答えた。
追加緩和の手段としては、長短金利目標の引き下げ、資産買い入れの拡大、マネタリーベースの拡大ペースの加速など「さまざまな対応が考えられる」とし、その際には「政策のベネフィットとコストを比較考量しながら、さまざまな手段を組み合わせるなど状況に応じて適切な方法を検討する」と述べた。
記事によると①長短金利目標の引き下げ、②資産買い入れの拡大、③マネタリーベースの拡大ペースの加速の三つの金融緩和政策を挙げています。では、それらの対策は本当に金融緩和策として、景気回復のために機能するものなのでしょうか?あるいは本当に実現可能なものなのでしょうか?

①長短金利目標の引き下げ
まず認識しなくてはならないのは、日本より金利が低い国は無いということです。以下に3月21日時点での10年債の金利を記します。

2019/3/21各国10年債の利回り
国名利回り
日本 -0.05%
アメリカ合衆国 2.51%
ドイツ 0.05%
イギリス 1.10%
フランス0.42%
イタリア2.44%
スペイン1.11%
オランダ0.14%
ポルトガル1.27%
ギリシャ3.75%
スイス-0.41%

スイスを除くとダントツに金利が低いことがわかります。ここからさらに利回りを低くしたところで、果たして日銀が期待するように円安・物価高となるか疑問ですし、残り少ない(日銀がほとんど買い占めてしまったので)国債を保有する生保や地銀の首を絞めることにしかなりません。

②資産買い入れの拡大
資産買い入れの拡大とは、現行で実施している年間約6兆円買入を行っている指数連動型ETFの買入額の増額を指していると思われます。日銀のバランスシートには既に21兆円を超えるETFが計上されており、日経平均の下落により中央銀行の破綻が危惧されるという冗談のような状況が起きています。これ以上、中央銀行のバランスシートを危険に晒すのは常識では考えられません(今の状況も冗談のようですが。)。

  • 日銀完全敗北!日経平均はさらに暴落するか?週明けはブラッククリスマスか?
日経平均に関する一番厄介な問題
現在日銀のバランスシートには21兆円以上のETFが取得原価で計上されています。
さて、日銀保有株式の簿価は日経平均にすると18,434円ほどだそうです。
若干専門的な話になりますが、日銀は買ったETFを購入時の価額で計上すればよいルールになっています。しかしながら、日本銀行の会計規定で「時価が著しく下落」した際には減損処理、つまり損失を計上しなければなりません。
仮に日経平均が14,500円になったとしましょう。そうすると現在の日銀の純資産4兆円に対して、4.6兆円程の損失計上になります。つまり債務超過が発生し、財務上は破綻することになります。
また、日銀が保有する株式はいつか売却をしなければならないものですので、18,434円を下回ると同時にこの数値をキャップとして意識され、株価上昇の抑制効果をもたらすと考えます。

③マネタリーベースの拡大ペースの加速
以下のBloombergの記事にもあるように、日銀は日本国債の42.99%を保有するという人類史上において未知の領域に入っています。諸外国で国債買入を多く行ったイングランド銀行が持っている記録が2012年のピークで約30%です。また、日本では国債を満期保有目的で保有する生保や年金の比率が相対的に高いことから、そもそものところで国債の買入には限度があると考えられます。

日銀の国債保有シェアが低下、異次元緩和開始の13年以降で初(Bloomberg)

  日銀が昨年12月末時点で保有する国債等(国庫短期証券と国債・財投債の合計)が市場全体に占める比率は42.99%と昨年9月末(43.00%)からわずかに低下した。国債等の残高は前年同期比1.6%増の1111兆円と過去最高を更新。日銀の保有残高も478兆円と過去最高を更新したが、シェアは12年3月末以来の減少に転じた。
  日銀は13年4月、2%の物価目標実現を掲げ異次元緩和を開始。14年10月の追加緩和で国債保有残高の年間増加ペースを80兆円まで拡大したが、16年9月に金融調節の操作目標を量から金利に変える長短金利操作を導入。国債の年間増加ペースは「めど」として80兆円という数字は残したが、足元では30兆円前後まで買い入れペースを縮小している。

元日銀委員の木内氏が行った試算によると、最低でも民間・海外部門で587.3兆円は保有する必要があるとしています。その場合の日銀の国債保有上限は524兆円となり、現行保有残高の478兆円から計算するとわずか46兆円です。現状でもステルステーパリングで80兆円から30兆円前後まで買入額を引き下げていますが、このままでも単純計算で1年半後には買入上限に到達することでしょう。追加緩和はできません。

国債発行残高1,111
日銀保有の上限524
民間・海外部門等の下限587.3

追加緩和なんかできっこない

世界的な景気減速が囁かれる前から言われていたことですが、日銀には追加緩和余地などありません。筆者が考える唯一の緩和策が強烈なマイナス金利政策(一般の預金者にも及ぶ)ですが、ポピュリスト政治に陥っている日本では無理でしょう。
私には黒田総裁が追加緩和を口にするたびに、苦し紛れのでまかせにしか思えません。

FOMCを受けて、さっそくドル円が暴落

日銀が追加緩和をできないのであれば、世界的な金融緩和で相対的に不利になるのは日本です。
昨日のFOMCでは、FRBの緩和的な態度が確認できたことから、ドル円が早速暴落しています。

ドル円


重要なので毎回説明しますが、資産形成は暴落相場でしかできません。
また、日経平均の空売りには、その安全性からXMTradingをお勧めしています。
  • 日経平均の空売りにはXM Tradingがお勧め
当面はドル円のショートも魅力的ですね。

2月28日の日平均は、1月の鉱業生産速報値が予想を大幅に上回る悪化により、下落して始まり、米朝両首脳の昼食会が予定の時間が過ぎても始まっていないことなどを嫌気され前日比171円安の21,385円で値を終えました。

1月初旬から続く上昇相場

年末の暴落で19,000円を一時割れた日経平均ですが、そこから2500円程度の反発で、現在の日経平均は21,473円程度になります。

nikkei

昨年度のレンジ上限あたりまで値を回復しているダウと比較すると物足りない反発ではありますが、それなりに反発しているといえるでしょう。逆を言うと、米国の株価の反発からは完全に置いて行かれていると言えます。

そろそろ天井と考える理由


直近の大きな政治的出来事は以下の通りとなります。トランプ政権にとって非常に大きな出来事が続いたことがわかります。

・非常事態宣言によるメキシコ国境壁建設決定ー2月16日
・米中貿易交渉において関税引き上げ延長決定ー2月24日
・米朝首脳会談ー2月28日

日経平均は、このような政治的に大きなイベントの後に大きく崩れる傾向にあります。
つまり、重要な政治日程の後には相場が崩れるというアノマリーが相場が天井と考える根拠です。
過去にどのように相場が崩れたかは以下のチャートをご参照ください。

Political chart

なぜ政治イベントの後に株価は崩れるか?

相場の格言で、セルインファクトと言われていますが、このように事実とともに売りが殺到するため非常に大きな下落が発生するということがまず考えられます。しかしながら、上記のチャートの通り、セルインファクトにしてはあまりにも下落幅が大きいと思います。
なぜこのような現象が起きるか、考えてみましたが、現在の、金融政策頼みの相場では「金融緩和」が株価上昇の必要条件です。基本的にトランプ大統領は経済政策にかけては、非常に優秀です。つまり、トランプが政治日程をこなす度に実体経済に良い影響を与えるため、政治イベントに向けて株価が上昇します。しかしながら、いざ政治日程が過ぎてしまうと、実体経済が良くなったり、政治的な不透明さが消えるため、将来の不確実性が減っていき、金融緩和の必要性が無くなることに相場は気づきます。金融緩和が無いのであれば、相場は下落していくはずです。
このような、論理的プロセスを経て市場は崩れるのではないかと考えます。

金利が上昇



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