トランプが中国への関税を10%から25%へ引き上げることを宣言したのが5月6日ですが、その二日後の5月8日に2019年1月―4月の社債のデフォルトが急増していることが判明しました。

中国の社債デフォルト急拡大-過去最大だった昨年を上回るペース(Bloomberg)

13兆ドル(約1430兆円)規模を誇る中国債券市場で、社債のデフォルト(債務不履行)は今年これまでのところ金額ベースで過去最大だった2018年を大きく上回るペースとなっている。中国当局のレバレッジ圧縮に向けた取り組みによる影響拡大が浮き彫りになっている。

  ブルームバーグがまとめたデータによれば、今年1-4月に国内社債392億元(約6370億円)相当が不履行となった。前年同期の約3.4倍に上る。昨年とは違い、年前半にデフォルトが集中した16年と比べても3倍余りのペースだ。このトレンドははっきりしており、何も変わらないとすれば19年は記録を塗り替えることになる。

  中国は中小企業を中心に民間セクターへの与信を増やすよう各銀行に引き続き求めている。6日には中国人民銀行(中央銀行)が一部の銀行を対象に預金準備率を引き下げると発表した。しかし、中国指導部は当局の監視が緩い中で与信判断が行われ、持続不可能なレバレッジが積み上がりやすいシャドーバンキング(影の銀行)システムの縮小にも注力している。

  17年終盤からデフォルトが急拡大している背景には、こうした資金調達手段が細っていることがある。

とはいえ、記事中にある1,430兆円相当のうち6,370億円程度しかデフォルトしていないとすれば、その数値は低すぎると言わざる得ません。仮に同じペースで残りの9か月デフォルトが発生したとしてもデフォルト率は1%にもなりません。米国のハイイールド債のデフォルト率でさえ2%程度はいきますから。

デフォルトさせないようにしてきた政府

中国の社債デフォルト率が異常に低い背景には、収益が悪化した企業を政府が全面的に支援し、デフォルトさせないようにしてきたことがあります。しかしながら、こういった支援も限界が来ており、政府はデフォルトを容認し始めているというのが実情のようです。

増え続けるゴーストタウン

中国も日本のバブル期同様に不動産投資が非常に活発です。しかしながら、日本のバブル期との大きな違いはとてつもなく大きな規模でゴーストタウンが生まれている点です。
土地の収用は国の権限で行われるため、半政府の企業が無計画に高層ビルを建て、法外な値段をつけて放置されているケースを多く見かけます。適正な値段で値引きして売れば、損失の計上になるため高値のまま放置されているのです。恐らく会計上も取得原価で棚卸資産として計上されていることでしょう。
中国の各地で数万人あるいは数十万にが住める規模の高層ビル群がゴーストタウンとして放置されています。中国の街に実際に行ってみればわかることですが、中国のバブルは質と量の面で日本のそれとは全く別次元のものです。恐らく今まで人類が経験したことが無いくらいの悲劇が起こることでしょう。

以下はABC Newsが中国のゴーストタウンを報じた動画ですがまさに圧巻です。

https://www.youtube.com/watch?v=TiTDU8MZRYw

みんなバブルの傷跡を忘れてしまっている

日本も護送船団方式で守られた銀行が無計画な融資を行い、バブルの崩壊を引き起こしました。2002年には不良債権が貸出残高の35%を占めるまでになりました。日本と同じ規模で中国のバブルが崩壊するのであれば社債は数百兆円規模でデフォルトするはずです。
バブルの崩壊とは我々の想像をはるかに超えるマグニチュードで発生します。

中国の銀行危機

直近の中国の銀行危機は1997年のアジア通貨危機の時に発生しています。このときは大手国有銀行4行(銀行部門資産総額に占める比率68%)が支払い不能に陥り、銀行部門の不良債権比率は推定50%に達しました。
そして現在は、1997年とは比べ物にならないぐらい中国は急速に発展し、そして負債も天文学的に増えています。下記は中国と米国の企業部門の負債の推移です。異常なスピードで負債が積みあがっていることがわかります。
china debt
トランプが中国にとどめを刺す

前回のブログで予想した通り、トランプの関税発言は決してブラフ(はったり)ではなく、また解決も難しいということが次第に市場にも浸透してきました。トランプが発言を翻して、貿易戦争が終わることを警戒してダウ・日経平均共に「ゆっくり」と株価を下げています。筆者的には、市場が貿易戦争の影響を株価に織り込んでいるとは思っていません。
前回のブログで述べた通り、トランプには貿易戦争を終わらせる理由がありませんし、中国も要求をのむことは難しいでしょうから。
  • 米中貿易戦争の再勃発!トランプツイートの真意とは?
そして何かのきっかけで中国のバブルがはじければ、市場はパニックになるでしょう。その時は、異次元の値動きがあるはずです。

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